マクロの定義に、引数が使えるようになると、利便性が非常に向上する。簡単な例を 示す。まずは、マクロの定義は、以下のようになる。マクロgetc,putcの定義の中、$1が マクロの引数にである。引数は、$1から$9までである。
define(STDIN,5) define(STDOUT,6) define(getc,getch(STDIN,$1)) define(putc,putch(STDOUT,$1))
プログラム中では、以下のように、記述する。
c = getc(c) call putc(c)
これが展開されると、以下のようになる。
c = getch(5,c) call putch(6,c)
もう少し長いマクロの例を以下に示す。
define(BLANK,32) define(TAB,9) define(skipbl,while($1($2) == BLANK | $1($2) == TAB) $2 = $2 + 1)
プログラム中では、
skipbl(s,i)
展開されると、
while(s(i) == 32 | s(i) == 9) i = i + 1
読み込み中にマクロに出会ったら、引数も含めてマクロ評価用スタックに積む。 引数の中にマクロ呼び出しがあったら、新しいマクロ評価用スタック領域を取り、 スタックに積む。そして、マクロを完全に評価して、入力に送り返す。そして、元の マクロの評価を続ける。
マクロ評価用スタックevalstは配列で表現され、マクロの名前、定義型、 引数が入る。一方、配列argstkは、evalstに格納された文字列の場所の 位置を示す。いくつものモジュールで共通の用いられるevalstは以下の通り。
RATFOR版は、
# cmacro.ri common /cmacro/cp,ep,evalst(EVALSIZE) integer cp # current call stack pointer integer ep # next free position in evalst character evalst # evaluation stack
WATCOM fortran 77版は、
! cmacro.fi common /cmacro/cp,ep,evalst(EVALSIZE) integer cp ! current call stack pointer integer ep ! next free position in evalst integer*1 evalst ! evaluation stack
このマクロでは、マクロや組み込み操作は出現したとき、 その場で全て展開することになっているので、それではまずいことがある。 たとえば、defをdefineの同義語として定義したいとき、
define(def,define($1,$2))
とすれば良さそうだが、うまくいかない。まず、マクロ名"def"が、評価用スタックに積まれる。 次に、置き換え文字列"define($1,$2)"が評価されてしまい、"def"に対応する置き換え文字列が 空となってしまう。 これでは、目的を達成できないので、"["と"]"でくくられた範囲は、評価を遅らせる仕組みを 付け加える。
define(def,[define($1,$2)]) def(ABC,DEF)
とすると
ABC
は、変換されて、
DEF
となる。実は、引数なしのマクロプログラムのソースは、defineを通せない。 プログラム中のマクロ定義ではない"define"文字列がマクロの定義と 見間違えられてしまうのである。
引数なしのマクロには、"()"がつかない、これを特別扱いしないように、 "()"がついていないマクロに出会ったら、"()"を入力に送り返し、あたかも"()"が つぃているかのように振る舞わせる。
以上を踏まえた、引数付きマクロのRATFOR版は、以下の通り。
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